宝財探偵所の迷宮事件

宝財探偵所が未解決事件に挑みます。

宝財探偵所の迷宮事件 44-7    堅川第一公園遺体遺棄事件のつづき

 
  被害者には二つの名前があった
 
 被害者は、同じ会社内で二つの名前を持っていた人物だったようだ。
 一人は、S尾一三で、一人はN澤裕樹という名前だったようだ。
 S尾という人物の血液型はAB型だ、と周囲に話していたことがあるようだが、N澤については不明だ。
 S尾とN澤を混ぜた人物は、イギリスに付きまとわれていたAB型の男性、ということになる。
 
 謎のテレビ局
 
 S尾という人物は、名前が珍しく、どこにでもいる、という名前ではない。読み方も、一三と書いて「いちぞう」と読むようだ。
 この事件が起きるずっと前、1990年代の初頭頃に、Tというテレビ局のドラマのテロップに“音楽 S尾一三”と出ていたことがある。しかし、それがこの事件の被害者本人かどうかはわからない。感触としては、S尾一三を名乗る男がそのドラマの音楽を担当したが、この人物は大変に性格が悪くてろくでなしであり、売れなくなった頃に殺してもいいだろう、とテレビ局側が思っていた、という感じの男だったらしい。
 ところで、このテレビ局は、そういう例が他にもあり、Tに入社した覚えもないのに、ドラマなどのスタッフのテロップに勝手に担当と名前を書かれてその時は気づかなかったが、何年もした後、突如として暗殺しようとするのだという。
 言い換えればこうだ。
 元々、テレビ局と関係のない人がいて、何らかの情報網を使ってその人に対する噂を聞きつけ、「うちの局にとって都合が悪い人間だ、殺してしまおう」と思い、その口実として、ドラマや番組のスタッフのテロップに勝手に担当と名前を出すのだが、それを見た本人は「同姓同名だ」と気にもしないが、テレビ局側に取っては「何にも言ってこなかった、これは幸い」と言い、行動を起こす機会をうかがい、ターゲットが仕事などでしくじった時を見計らって、テレビの権力を利用して、暴力団や雇っている芸能人などに総攻撃させるのだ。
 ターゲット自体はタレントや芸能人ではないので、週刊誌やワイドショーで名前も出ることもなく、世間から干された形になるわけだが(テレビの権力により)、それを行っていい程のものは何もテレビ側からはもらっていないのだ。
 
 事件に戻ると、この事件の被害者は、殺害される前に覚えもないのにテレビ局からつきまとわれていたという可能性も浮上する。
 
 犯人像
 
 犯人は、二人組の男女であることが似顔絵からわかる。
 似顔絵の男女のうち、男の方は元交際相手のM田という女に顔の一部が似ている。もう一人は、「自分がやった」と主張する男が浮上していて、この男の方は平田信である。
 被害者は、身長が割りと高く、平田信に間違えられることもあったようなので、平田信が、被害者を逃走犯の平田に見せかけるための謀略をしていたが、何らかの都合で殺害することになり、殺害し、遺体を遺棄した、ということが考えられる。
 一方で、この被害者は、ダイアナ元妃の交通事故の際、真相を知っていることを伺わせるような言動をしていたことがあり、それを通報されたり公表されると困る人物が、殺害した、という可能性もある。
 ダイアナ元妃の交通事故の際、被害者はパパラッチに関する何かを知っていたと思われ、パパラッチに殺害された、ということも考えられるが、平田信はパパラッチの一人であると思われるので、被害者と犯人の関係は一致する部分がある。
 
 犯人は元交際相手
 
 似顔絵の男女が判明した。
 この二人の男女は、一人は会社の経営者の女で、もう一人は社内で被害者と仲が良かった女・森田だ。この二人の女は、同一人物ではなく、別々の女で、被害者は二人の女と交際していたようだ。しかし、被害者は、この二人を同一人物だと思っていたようだ。
 
 交際相手の経営者の女は、この被害者のことを気に入っていて、仕事の出来不出来は関係なく、希望する職種で被害者を雇用していた。しかし、「結婚して」と切り出す女に結婚を断ったために破局になり、会社も辞めることになったようだ。
 二人の女が別人であることを、被害者はこの時知ったのだ。
 それを二人の女に伝えたので、二人の女は被害者を殺害することを計画したのだろう。
 二人は、平田信と斉藤明美であろう。
 動機としては、このようなことだが、イギリスというのは何なのだろう。
 
 前述した、ダイアナの交通事故について、被害者はパパラッチについて何か知っていたようだったが、犯人の男女も一応、ダイアナの交通事故と関係のある当事者たちである。
 似顔絵の男の方は、ダイアナの義理の父親と同一人物だった。二人共、ダイアナの乗っていた車に同乗していたのたが、本当は全員助かっている。
 この事件の被害者は、ダイアナの事故死についてこのことを通報されたり、発表されたりすると困る、という理由もあったのかも知れないが、事件の真相が明らかにならないようにと、二人はイギリスのバッグを使用しても差し支えないだろうと、バッグを購入していたのだろう。
 
 金を払った人物
 
 この殺人に、金を払った人物がいる。
 被害者は、身長が高く、平田信に間違えられることがあったようだ。
 
 
  犯人がもし、森田と同一人物の演歌歌手Nだとすると、次の仮説が成り立つ。
 
 演歌歌手Nは、タリバンのメンバーと同一人物である。
 被害者と演歌歌手Nは、顔がとても似ているので、被害者の方がビン・ラディン師であると通報されていた。
 しかし、演歌歌手Nは、自分が通報されないでよかった、というのではなく、顔が似ているので、いつ、自分に操作の手が及ぶかが不安だったのだ。
 そこで、昔からストーカーしてモデルにしていた被害者を殺害しようと計画。
 
 もう一人の経営者の女は、せっかく長期にわたり雇い入れてやったのに、自分以外に社内で恋愛関係になっていた女がいたことに腹を立てた。しかも、二人を同一人物であると思っていた被害者が許せなくなった。
 
 演歌歌手Mは、「自分がやった」などと言う時があるが、これは、事件を後から知った演歌歌手Mが、犯人の二人に金を払った、ということではないだろうか。そして、情報を共有したかったのだ。
 
 遺体遺棄の直前
 
 被害者は、遺体遺棄される前に、夜の錦糸町の街をほっつき歩いていた。ある風俗店の前で店の店員に文句をつけられ、暴行を受けていたらしい。
 この店員は、被害者が勤務していた会社の元同僚と、経営者の女だった。
 この店で暴行を受けた後、堅川第一公園内に遺棄された。