宝財探偵所の迷宮事件

宝財探偵所が未解決事件に挑みます。

宝財探偵所の迷宮事件 38-56    八王子大和田スーパー殺人事件のつづき

 朝木の事件にフィリピン人が出てくる

 朝木議員が、転落死したのは午後10時30分頃。まだ周囲の人たちに朝木が死んだことが伝えられていない午前2時30分頃に、朝木の事務所の前にワゴン車が止まっていたという。このワゴン車の運転手は直子らを見ながらニヤニヤ笑っていたが、直子らが警察に通報した後急発進してその場を去っている。しかし、9月5日になって、朝木の事務所に現れ「僕はこの人と約束をしていた」と言ってフィリピン人ぽい女性を連れてきたという。
 朝木の事件とフィリピン人は何か関係があるのだろうか。
 このワゴン車に乗っていた男は、度々朝木議員の後を車で付回していた男と同一人物であろう。
 男が約束をしていたフィリピン人ぽい女性は、直子らの側にいた人物なのだろうか。取り込んでいるので男との約束の時間に間に合わなかったが、実は通報していた側の女性と待ち合わせをしていたのではないだろうか。男はそのことを知っていたのでだからニヤニヤして、「よくやるよ」と思っていたのではないだろうか。
 この男は、近くのフィリピンパブで飲んでいたが、フィリピン人ホステスと約束をしていてワゴン車で待っていたのだという。ホステスはその後自転車に乗って現れ「何だ自転車で来たのか」という会話運転手の男としたらしい。その後、急発進したということだ。
 朝木議員死亡直後にフィリピンの影があった。フィリピンは、殺された朝木の知人を見てニヤニヤ笑っていたのだ。
 
 ハンバーガーショップは午後8時閉店

 朝木議員がビルから転落した際、第一発見者は、ビルの1階のハンバーガーショップの店員だったという。
 「落ちたんですか」、「救急車を呼びましょうか」などと落ちて倒れている朝木議員に声をかけている。朝木は「いいえ」「大丈夫です」などと答えていると証言している。
 このハンバーガー店と同じハンバーガー店の別の店舗の営業時間は、午前7時~午後8時までである。
 東京の23区内なら早い閉店時間だが、東京の郊外となると23区内より早く店を閉めることが多い。だから、午後8時までが営業時間だとしても少しもおかしくはないのだ。
 朝木議員がビルから転落した時間が午後10時。発見されたのは午後10時30分。ハンバーガーショップは、閉店してから1時間30分後に朝木が外で倒れていることに気づいたのだ。一人の店員が朝木と会話をした後、ゴミ捨て場で寝ている人がいる、として今度は店長を呼び、店長とも朝木は会話をしたのだという。
 朝木議員は、事務所を出る時に電気をつけっぱなしにし、クーラーも電源はついたまま、ワープロもやりかけで出て行った。財布はバックに入って事務所に置きっぱなしだった。カギを持って出かけたのは、事務所にカギをかける必要があったからで、財布を持っていかなかったのは、財布が必要ないからで、飲食をする目的だとか弁当を買う目的でもなかったのだ。
 朝木は誰かに会いに行ったのだろうか。

 例えば、朝木が事務所でワープロを打っている時に何者かから電話がかかってきて、「〇〇のことで話がある」などと呼び出されて事務所を出て行った。そして、その出先が、すでに閉店になっているハンバーガーショップだったのだ。
 ハンバーガーショップはすでに閉店しているので、店内で話すことも出来るし、寮にしているであろうビルの廊下か踊り場などで話すことも出来る。
 だいたい閉店してから何時ぐらいまで店員がいるものかどうかはよくわからないが、閉店してからその後は店で何をしようと自由だし、客が来る心配もないので店番をする必要がない、つまり、第一発見者の店員はアリバイがないと言えばないのだ。
 5~6階の踊り場で朝木議員を突き落とした後、30分経って倒れている朝木を発見したフリをして「落ちたのか」「大丈夫なのか」という会話が本当にされたかどうかはわからないが、そういう会話をしたと証言をしている。
 踊り場で朝木を突き落としてから発見するまでに30分の時間がある(朝木は午後10時頃転落したという)。この間、自殺の偽装工作が出来る。
 例えば、踊り場の壁の手すり部分に階段方向へ向けた指の跡があったというが、ちょっと知能の高い犯罪人なら、朝木が階段か手すりに捕まっていて手を離して自殺したように見せかけるために、わざと指の跡を階段方向に向かってつけるような工作も出来たはずだ。